目次: 寄稿編 No.14(一)現役諸君に望む 鷲尾宥三

 京大ラグビー部創立六十周年を迎え御同慶の至りです。この際六十年史を編纂される事は誠に有意義で喜ばしいことです。

 創立当時を振り返ると如何にも今昔の感に堪えません。当時は未だラグビー協会は設立されず、OBの後援会も無く、選手は僅かの学友会の部費に基き、殆ど各自負担で苦情もなくラグビーを好む者が集ってラグビー一筋に生き抜いたものです。そのうち協会が出来、明治神宮競技場が出来ると、協会側は、夫々の仕合を協会主催として入場料を徴収するといい始めたのですが、吾々はアマチュアスポーツとして入場料をとるのは断乎拒否したものでした。そんな意気込で何彼と対処してとにかく輝しい黄金時代を現出したものと信じます。

 本年六十周年を迎えるのですが、創立当初約十年間は輝かしい実績を残しましたが、その後五十年の間まことに情ない時代を経過しました。時には五十点、百点の差をつけられて敗れるみじめな時期も再三あり、OBとしてそんな仕合は相手に対しても失礼に当るから或程度迄強くなる迄対戦を辞退すべしとか、或は一時部を解散して再出発すべしとか色々苦言を呈した事もありました。吾々の頑にはラグビーは十点前後の攻防戦という事がこびりついています。又関西リーグのA、Bクラスの争いに終始する事なく、あくまで全国的な高目標を立てて真に頑張って貰いたい。

 世代の隔離というものはこの世界にはないものと思われるのは、明治−北島、早稲田−大西、同志社−星名の各チームは最近も目覚しい活躍を続けている例からも明らかである。他に勝つためには、二倍三倍の鍛練が不可欠の条件です。別項にも詳細を述べましたハードトレーニングの内容もよく玩味して、又グラウンドも北白川を活用する事も再検討して、五十年目でも結構、全国制覇の夢を実現して頂きたい。

 後援会としても現状では張り合いがありません。

前の記事へ このページの先頭へ 次の記事へ